漫才「飛行機内」

漫才「飛行機内」
 
A「○○○です。よろしくお願いします。」
B「今度初めてアメリカに旅行に行こうかなと思ってまして。」
A「ほう。」
B「飛行機もね、初めて乗るんですよ。」
A「ああ…、ご愁傷様です。」
B「いやいやおかしいから。飛行機って別にそんな事故ったりとかしないからね?」
A「でも仮にトラブルに巻き込まれてみなよ。大変だからね?ほら、お客様の中に―とか。」
B「いやそんなの僕別に医者じゃないので。関係ないでしょ。」
A「やってみます?」
B「やってみるって…。いやあ、初めて飛行機に乗ったけど全然快適だなあ。」
A「お客様の中にパイロットはいらっしゃいませんか!?お客様の中にパイロットはいらっしゃいませんか!?」
B「大緊急事態だ!!」
A「お客様の中にパイロットはいらっしゃいませんか!?」
B「ちょっとCAさん!何かあったんですか?」
A「あ、お客様。いえ、実は…、コクピットの中にですね、誰も把握していない見たことないボタンがありまして。」
B「勉強しとけよ勉強!」
A「全員大パニックで。」
B「飛ぶ前に確認しとかないと!」
A「それで、試しに私押してみたんですが。」
B「押したんですか?あなたが?え、大丈夫なんですか!?それ!」
A「そしたら緊急時に機体を少しでも軽くするために、お客様の荷物を全部開けて棄てるやつだったみたいで。」
B「何してるんですかちょっと!?え、私の荷物今ごろ全部太平洋!?」
A「せめて…、魚の餌になっていることを願います。」
B「ならないですよスーツケースなんだから!ちょっとどうするんですか!?あの中にはですね、滞在用の資金や服が、全部入ってるんですよ!」
A「(服を脱ぎだす)」
B「ちょっと!何急に脱いでるんですか、ちょっと!」
A「これを着てください。」
B「代わりにならないんですよCAさんの服!恥ずかしいしまっすぐ見れないので今すぐ着てください!」
A「代わりにならないなら…、それなら、ちょっと待っていてください!(走っていく。)
B「あ、ちょっと!全裸の女が堂々と走っている…。羞恥心がないのか…。」
A「(戻ってくる。)すみませんこれ!機長たちの服と財布、いろいろ剥ぎ取ってきました。」
B「だから、そういうことじゃないんですよ!受け取れないですって!」
A「抵抗したのでついでに座席に縛り上げときました。」
B「あんた強いなすごい!ほどいてきなさい今すぐ!大体荷物はもう捨てちゃったんでしょ?それなら手遅れですし、パイロットとか呼んでも仕方がないじゃないですか。
A「いえ、パイロットに関してはもう一つ、どうしても機長が聞きたいことがあったみたいで。」
B「まだあるんですか?今度は何!?」
A「リクライニングの倒し方がわからなくてしんどいと。」
B「どうでもいいわ!我慢しろや!」
A「でも90度ですよ?」
B「私が客席でやってること、なんで機長ができないんだ!」
A「エコノミー症候群にならないか心配です。」
B「あなたガチガチにその人縛り上げて動けなくしましたよね?そもそもボタンとかリクライニングとか、わざわざお客さんの中から探さなくても、管制塔とかに連絡して聞けないんですか?」
A「いえ、それがさっき聞いてみたのですが…。」
B「何?管制塔の人もわからないの?」
A「まずこの時間にアメリカ行きの便は運航していないし、その機体は聞いたことがない。レーダーでも把握していないし、お前らは一体何なんだと。」
B「幽霊便!!?私幽霊便に乗ってるのこれ!?え?大丈夫ですよね?これちゃんとアメリカに着くやつですよね!?」
A「はい。機長たちが先ほど、この便はホワイトハウスに突っ込むと。」
B「大テロ便じゃん!!?ちょっと待ってヤバすぎるって!?このままだとあなたも乗客も全員死んじゃいますよ!?」
A「……ほんとだ!!」
B「気づいてなかったの!?早く!早くなんとかして機長たちを止めないと!」
A「あ、それなら私先ほど縛り上げましたね。」
B「おーーーーー!あなたテロリスト縛り上げたの?強すぎでは?何者なの一体?」
A「ですが、一つ問題が。」
B「何!?もうなんでも言え!」
A「機長たちを縛り上げてほどけないとなると、機体を操縦する人が…。」
B「お客様の中にパイロットはいらっしゃいませんかーーーーーー!?」
A「ね?飛行機って大変でしょ?」
B「いやこんなんあるか!もうええわ!ありがとうございました。」