漫才 「電話で告白」

漫才 「電話で告白」
 
A「○○○と申します。よろしくお願いいたします。」
B「中学生の時とか、好きな女の人に電話かけるのって、緊張しませんでした?」
A「ああ、確かに女の子とするときは緊張しましたね。」
B「特に告白する時とかも、電話でしたりしますから。」
A「人によってはね。」
B「今はスマホがあるからメールとかLINEとかでもできますけど、僕らの世代は固定電話でしたから。」
A「僕らの時も携帯ありましたよ?」
B「固定電話だと家族の人が出たりするから、余計緊張して大変なんですよね。」
A「もう一個上の世代の人の発言なんですよ。僕らの世代は携帯でいけましたよ?」
B「(電話かける側)『ジリリリリ。ジリリリリ。』」
A「こいつ経験ないのに推測で初めやがった。」
B「(電話うける側)《ジリリリリ。ジリリリリ。ガチャ。》」
A「着信音古くない?黒電話なの?」
B「《はい、もしもし、TD615(W)です。》」
A「型番言ってない!?電話の型番で伝える時代なんて今までなかったよ?」
B「『あ、すみません、ET-3O1A-SDと申します。』」
A「それで相手わかる!?どっからかかってきたか?絶対ピンと来ないよ?」
B「『あの、この電話番号は、現在使われていますか?』」
A「なにその確認!?それを質問して何の確証を得たいの?」
B「《はい、この電話番号は、現在使われております。》」
A「世の中で一度も使われたことない文章なんだよ。[おりません]ならまだしも。人が人に使う文章じゃないから。」
B「『あの…、もしかして…、お母さんですか?』」
A「あ、家族の人が出ましたね。」
B「《いいえ、お父さんです。》」
A「声で分かれよさすがに。性別違うのに。緊張しすぎ。」
B「『あの、ゆみこさんは、おられますでしょうか。』」
A「好きな女の子の相手、ゆみこちゃんみたいですね。」
B「《いえ。ゆみこは今、学校で授業中です。》」
A「うん。お前何してんの!?お前、何学校ずる休みしてるんだよ!」
B「《ゆみこは今、授業にお邪魔させていただいています。》」
A「お邪魔とかではないよ別に?教育を受ける権利あるから。堂々と受けてていいのよ。」
B「『わかりました!また、かけ直します!ガチャ、ツーツー。』」
A「かけ直すなお前は!今すぐ学校行って、授業受けて、直接ゆみこに想いを伝えてこい!!何してるんだこいつ。あとこれ平日の昼間っぽいけど、お父さんは会社言ってないの?自営業という認識で大丈夫?」
B「(電話かける側)『プルルルル。プルルルル。』」
A「時間置いてかけ直してますね。」
B「(電話受ける側)《プルルルル。プルルルル。ガチャ。》」
A「なんか短時間で着信音は更新されましたが。」
B「《はい、もしもし、TD615(W)です。》」
A「型番やめろ!わかんないんだよそれ。」
B「『すみません、ET-3O1A-SDです。』」
A「型番を使うことになんのメリットがあるんだ。」
B「『あの、この電話番号は、今後も使われ続けますか?』」
A「なんの確認なんだよそれ!?さっきから!それを聞いてお前は一体何を知りたいんだよ!」
B「《わかりません!!!!》」
A「すごい力強く言った!」
B「《未来に!絶対ということは!ないからです!!》」
A「意味のわからない質問にすごいかっこよく答えてる!結果バカだ!」
B「『あの…、お母さんですか?』」
A「今度はせめて、ちゃんとお母さんであってよ。」
B「《はい、私、母親の、ゆみこです。》」
A「ゆみこさん。え!?ゆみこ!?え!?なに?お母さんがゆみこ!!???」
B「『ゆみこさん!好きです!付き合ってください!!!』」
A「お母さんに告白した!!!え、どういうこと!?全然状況がわかんないけど!でもとりあえず結果は?YESNOか、どうなんだ!?」
B「《……すみません、あの、どちら様ですか?》」
A「誰かわかってなかった!!!型番で伝えてたから!!逆によくここまで切らずにいてくれたねお母さん!!」
B「『あ、すみません。私、さくらちゃんの、同級生の、たかしと言いまして…。』」
A「それを型番の時に言うんだよ。本来は。なんでそれができてないの?どういう時代?」
B「《ああ、たかしくんですか。》」
A「よかった。たかしくんのことは認識してた。」
B「《あなたのことは、娘からも、よく、学校で、話を聞かせていただいてます。》」
A「家で聞けよ。だよねお母さん!!さっき授業にお邪魔してたもんね!なんでお母さん授業に参加してるの?」
B「《ごめんなさいね。忙しくて。なかなか家で、さくらと向き合ってあげる時間をとってあげられないのよ。》」
A「だからといって授業中はおかしいから!平日の昼間が大丈夫なら家でもとれるでしょ?なにお母さん、夜働いてるの?水商売の方?」
B「『あの、ゆみこさん!好きです付き合ってください!ゆみこさんの色香にやられてしまいました!』」                                             
A「色香っていうな。中学生が。同級生の親に。」
B「《ダメよ、たかしくん。》」
A「そりゃそうなるでしょ。当然の結果だよ。」
B「『でも好きなんです!』《ダメよ、たかしくん。》『ゆみこさんのこと!』《たかしくん。》『僕は好きなんです!』《たかしくん!!》(受話器に人差し指を当てる)
A「受話器の口元を抑えた!何の意味もないのに!なにこれ!?」
B「《いい?たかしくん。人の親のことは、簡単に好きになっちゃいけないの。でももし、学校を卒業して、たかしくんが立派な大人になって、それでも、私のこと、好きでいてくれるなら、その時、迎えに来てくれる?》」
A「…完全に女教師の立ち位置だ!あなた結婚してるでしょ?迎えに来られても困るからね。なに可能性ちょっと残してくれちゃってんだよ!きっぱり断れ!」
B「『………はい!』」
A「はいじゃないんだよお前も!相手お前と同じ年齢の子がいる人妻だぞ!NGとしてとらえろ!」
B「『あの、ゆみこさん…。たまに、電話、かけても、いいですか?』」
A「いいですか?じゃないよ。お父さんも出る危険もあるし。諦めろって。」
B「《………F004にかけなさい。》」
A「子機の型番教えた!なんかちょっとエロい!なんだこの人!!」
B「『あの…、どうやってかけたらいいかわからないんですけど…。』」
A「型番だけだとね!なんだよこれ!さっきから!推測でやってるからか知らないけど、固定電話の時代でも、こんな告白ないから!」
B「うーん、まあ俺ヒヨって女の子に電話でも告白できなかったからね。」
A「そもそもが推測じゃねえかチキン野郎!いい加減にしろ。ありがとうございました。」