漫才 「通販」

漫才 「通販」
 
A「どーもー。○○○と申します。よろしくお願い致します。がんばっていきましょっか。」
B「『コント 通販』」
A「ご心配なく漫才ですよ。マイクをなんだと思ってるんですか。」
B「やあボブ!そんなに困った顔して、どうしたんだい?」
A「まさかの海外のやつなんですね。続けるみたいです。」
B「(ボブ:太い声で)グフッ!実は、カップ麺を食べようとしたんだけど、お湯がなくて、困ってるんだよねえ。」
A「太ってましたね、ボブ。」
B「テレビの前のみんなも、カップ麺を自宅で食べようとして、家にお湯がなくて困ったっていう経験、あるよね?」
A「沸かせよ。ガス水道止めてられるのかお前は?」
B「そんなあなたにお届けしたいのがコレ、O☆YU!(手ですくって見せる)」
A「お湯かよ!まんま届けるの!?絶対着く頃には冷めるよ?」
B「これがあれば、ご覧のとおりカップラーメンも、作って食べられるってわけだ。(手ですくったお湯をカップラーメンに入れる)」
A「お湯、手で持ってるんだけど。お湯だとしたら絶対熱いよ?」
B「(ボブ)グフッ!わあ!おいしそうだあ!いただきまーす!」
A「3分待てよ。辛抱しろよ、デブが。」
B「テレビの前のみんな!もしかすると、届く頃には冷めちゃってる、とか考えてるんじゃないかな?」
A「うんまあ考えてるよ。」
B「でも大丈夫!ちゃんと、魔法瓶に入れて届けるから!」
A「限界あるだろ魔法瓶にも。魔法瓶あるならなんで手ですくって入れたんだよ。」
B「(ボブ)グフッ!冷めるはずのお湯が冷めないなんて、僕はまるでマジックを見せられたような気分だよ。」
A「魔法でよかっただろそこは。」
B「ボブ、最近の科学を、あなどるんじゃあないよ。」
A「最近でもないからね、大して。」
B「ちなみに、届いた魔法瓶は、後日絶対返してくれよ!」
A「めんどくせえ!なに?出前なのこれ?お湯の出前?」
B「また、魔法瓶はちゃんと、必ず洗ってから返すようにしてくれ。」
A「お湯だったらそんな汚れてねえだろ。手間が多いなあ。」
B「こちらのお湯、なんと使えるのはカップラーメンだけじゃあない。インスタントコーヒーや紅茶、さらに、スープやみそ汁などにも使えるんだ!」
A「ただお湯の利用法言ってるだけじゃねえか。常識をセールスポイントにするなよ。」
B「(ボブ)グフッ、お湯がそんないろいろなものに使えるだなんて、知らなかったなあ。」
A「学なさすぎだろこいつ。もっと日常の生活に興味を持て。」
B「ちなみに届けるお湯の量は、4.8デシリットル。」
A「あんまり大人になってから使わないんだよその単位。わかりにくいよ。」
B「ようは480ミリリットルってところだ。」
A「ギリギリじゃねえかカップ麺作るのに。大盛りだったらたぶん足りないよ?」
B「こうなってくると、気になってくるのは値段のほうだよねえ?」
A「大して気になってねえよ。買うつもりがないから。」
B「お値段なんと、1980円!」
A「高けえ!」
B「1980円!送料350円!」
A「送料かかんのかよ!」
B「みんな、申し訳ない!送料が無料になるのは2000円以上の商品を買ってからなんだ。」
A「Amazonなのこれ?なあ?送料がかかるスレスレのラインに値段を設定するんじゃないよ。」
B「おっと、ちょっと待ってくれ!なにも届くのはお湯だけじゃあないんだ。」
A「ほんとにお湯だけだからな今んとこ。魔法瓶返させずにつけろよ。」
B「なんと、お湯を買ってくれたみんなに、サービスで1個カップ麺がついてくる!」
A「食べようとしてるやつ余るじゃねえか!」
B「(ボブ)グフッ!カップラーメンが2つ食べれるなんて、僕は最高に幸せだなあ。」
A「お湯がねえんだよテメエには!1個分しかないし!ガス水道止められてるから!さっさと働けデブが!」
B「さらにさらに、カップ麺だけじゃあない。なんと割りばしも一膳お付けするぜ。」
A「サービスがしょぼぎるんだよさっきから。」
B「(ボブ)グフッ!今まで箸で物を食ったことがないから、うれしいなあ。」
A「お前ん家には生活がないのか!どうなってるんだこいつは?」
B「これだけお付けして、お値段なんと据え置き、1980円!」
A「送料かかるじゃねえか!」
B「1980円!」
A「カップ麺と割りばし代払うから、頼むから2000円以上にしてくれ。」
B「(ボブ)グフッ!値段が変わらないなんて、お得だなあ。」
A「損得勘定できないデブが。てめえは黙ってろ。」
B「受付は今から年中無休の24時間、10人体制のフルサポートサービスでお客様の電話をお待ちしてるぜ。」
A「人件費無駄にすんなよ。お前のところのコールセンターのパート、めちゃくちゃおしゃべりしてるぞ。」
B「それでは電話番号はこちら。11045105963。」
A「初めの3桁で警察に電話かかるだろこれ!」
B「11045105963。『警察、お仕事、ご苦労様!』までだ。」
A「なんでお前に労いの言葉もらわないといけないんだよ。」
B「(ボブ)グフッ!いつもお世話になってます。」              
A「てめえは職質かなんかだろ!」
B「ジャ~パネット、ジャ~パネット~、夢のジャパネットタカタ~。」
A「嘘やん。ジャパネット要素一個もなかったやん。ちょっといい加減にしろよお前。」
B「え?」
A「社長が変わってから破滅しすぎだろ、ジャパネット。せっかく通販の仕事がやりたいって話だったのに、全然できてないよ!そんなんじゃすぐクビになるからね?」
B「いや、ごめん…。俺一言も通販の仕事やりたいなんて言ってないんだけど…。」
A「あ、ごめん…。コントのつもりだったんだよね?やめさせてもらいます。ありがとうございました。」