漫才「卵10個」

漫才「卵10個」

 

A「どーも、よろしくお願いします。」

B「心理テストを作るのが好きでして。」

A「作るのが?」

B「暇になると作っちゃうんだよね。」

A「あー、まあ性格悪そうだよね。」

B「なんてこと言うんだ。別に関係性あるからいいけど。お前初めての人とかに言ったりすんなよそういうこと。」

A「で?」

B「で、今日はお前に、心理テスト出そうと思ってるんだけど、大丈夫?」

A「別にいいけど。時間あるし。」

B「じゃあ出すよ。家の冷蔵庫を開けると卵が10個ありました。」

A「卵10個。」

B「その卵は賞味期限が今日までで、絶対に今日10個の卵を食べきってしまわないといけません。」

A「うん。」

B「まあごめん、別に正直1日くらい過ぎても大丈夫じゃないとかそういう話もあるんだけど、とにかく今日中、絶対今日中に使ってしまわないと親が死ぬ―」

A「わかったわかった。なんだ親が死ぬって。せめて期限を消費にしとけよ。」

B「卵10個使ってあなたは何の料理を作りますか?」

A「ほお。あんまり聞いたことない感じだね。」

B「自作だからね。」

A「なるほど、何作るかな。」

B「で、このテストで、何がわかるかっていうと、あなたの好きな芸能人がわかります。」

A「芸能人?」

B「芸能人。」

A「俺オードリーとか好きだけど。」

B「言うなよお前。なんで先に言うんだよ。」

A「え、ごめん。いや珍しいなあと思って。心理テストで芸能人は。」

B「まあいいよ。オードリーよりも好きな、心の中に埋まっていた芸能人、それがわかるから。」

A「うーん、まああんまり何がわかるとかは回答言ってからでよかったと思うけどな。」

B「さあ、お答えください。」

A「えーでも卵10個でしょ?なんだろ。とにかく消費したいからな。とりあえずじゃあまあカニ玉で卵3個使って。」

B「あ、ちょっと待って。」

A「で、親子丼で卵2個かな。あとその上に生卵を1個乗せる。」

B「ストップストップ。えーとごめん、言ってなかったけど卵オンリーだから。」

A「卵オンリー?」

B「使っていいのは卵だけ。卵以外の食材は冷蔵庫にはありません。カニとか鶏とか、そういうのを使うのはなし。」

A「えー、そうなん?それで卵10個使うのは難しくない?そうだなあ、じゃあそうなると出汁巻き玉子で3個。」

B「待て待て待て。」

A「出汁巻き玉子3。え、何?」

B「お前あれか?今日お客さんに俺料理上手いんだよアピールしようとしてる?」

A「してないけど。何にひっかかってるんだよ。」

B「出汁巻き玉子って出汁使ってるよね。」

A「出汁もだめなん?」

B「卵だけだから。卵10個、使っていいのはそれだけ!」

A「そしたらめっちゃ限られるじゃん。じゃあオムレツとかは?ピーマンとかハムとか入れてない、本当にプレーンのオムレツ。」

B「オムレツ…。そのオムレツはバターを使っていないですか?」

A「バターもダメなん?じゃあいいよバター使わずに作るよ。」

B「牛乳とか入れたりしてないですか。」

A「厳しすぎるって!入れたいよ牛乳は。」

B「じゃあダメだよ。」

A「わかったよ!じゃあ牛乳なしで作るよオムレツ。それでいいだろ?」

B「その出来上がったオムレツに、ケチャップをかけたりはしてないですか?」

A「ケチャップは、、かけるだろ…。」

B「じゃあダメでーす!オムレツダメでーす!」

A「難しすぎるって!」

B「オムレツにケチャップで「胃ポリープ」とかの文字は書かせませーん。」

A「書かねえよ。ケチャップあったとしても胃ポリープとは。なんだその食欲無くすオムレツは。」

B「とにかくオムレツはダメね。」

A「じゃあもうないじゃん作れるものが。目玉焼きだよ目玉焼き!目玉焼き作るよ。」

B「目玉焼きを作る時に、油は使っていませんか?」

A「縛りすぎだって!使うに決まってるだろ!」

B「卵だけだから!卵オンリー!冷蔵庫の中には卵以外は一切ない!」

A「別に俺油は冷蔵庫の中に入れてないんだけど。もうないよそしたら!ゆでたまごだよゆでたまご!10個全部ゆでたまごだよ!」

B「ゆでたまご…。」

A「ゆでたまご10!それしかないだろもう!」

B「ゆでたまご。まあいいでしょう!」

A「何だお前。」

B「ゆでたまごを食べるときにかける塩、認めます。」

A「うるせえよ。意味不明な縛りしやがって。クソルールマスターが。」

B「塩はさすがに基本の調味料だからね。ゆでたまご10個。わかりました!ゆでたまご10個であなたの好きな芸能人出ました!」

A「ああ。」

B「ゆでたまご10個!作ると答えたあなたの!好きな芸能人は!!」

A「おう!」

B「板東英二です!!!」

A「だろうなあ!!!」

B「まさかお前が板東英二が好きだったとは。」

A「好きじゃねえよ!好きじゃねえよも失礼だけど。ふざけやがって。お前が椅子座らせてぐるんぐるんに縛って、板東英二って言わせてるだけじゃねえかこんなもん!」

B「あれだから。今後お前合コンとか行って好きな芸能人誰ですか?って聞かれたときに、オードリーじゃなくて板東英二って答えないとダメだから。」

A「説明できねえよ!板東英二を好きな理由が!そんなんだったらやめるよゆでたまご!生卵だ生卵!」

B「生卵?」

A「生卵10個!ロッキーみたいに飲む形で食う!それでいいだろ!」

B「いやでも生卵はもう料理じゃなくない?」

A「だから縛りすぎなんだって!」

B「生卵は料理じゃないので認められません。」

A「ゆでたまごに向かわせすぎなんだって!板東英二一択じゃねえかこの心理テスト!そしたらほら炒り卵だよ炒り卵!スクランブルエッグ!」

B「スクランブルエッグに、ケチャップはかけませんか?」

A「ケチャップはかける!!」

B「じゃあダメだよ、油も使うしね。」

A「ねえじゃんもう!ぬああああ!じゃあポーチドエッグ!!」

B「ポーチ…、え、何?」

A「ポーチドエッグ!あるだろ!ポーチドエッグって料理が!!」

B「ごめん、ポーチドエッグってどんなやつだっけ?」

A「沸騰したお湯に、割った卵入れて!球体にした!白身が半熟の!ほぼゆでたまごみたいなやつ!ポーチドエッグ!!ほら!それならいいだろ!!」

B「でもお湯使ってるしなあ。」

A「ゆでたまごもお湯使ってるだろ!ポーチドエッグ!認めさせるぞ!ポーチドエッッッグ!!!」

B「え、あのー、単純に疑問なんだけど、そんなお湯の中に生の割った卵入れて、球体みたいな状態になるの?」

A「それはあれだよ。お湯の中にちょっと酢入れて、うまく固まるようにしてるんだよ。」

B「酢使ってんじゃーん!」

A「うるせえ!!」

B「酢使ってるならダメだよ!ポーチドエッグ、認められません!」

A「いいだろ酢くらい!塩認めてるんだから酢も認めろよ!」

B「認められません!基本の調理料だから塩は認めてるけど、酢は認められない…、あれ?さしすせそだから酢は基本なのか?」

A「一人で何言ってるんだてめえ!」

B「え??酢は?料理のさしすせそに入ってるから?酢は?認めないと??いけない???」

A「一人で作ったルールにがんじがらめになってんじゃえよ!お前次第だけど!とにかく酢は!OKなんだな!!」

B「え、ポーチドエッグって酢以外にもなんか使ってるんじゃない?」

A「使ってない!お湯!酢!卵!それだけでできあがる!ポーチドエッッッグ!!ポーチドエッグ10っっ!!!」

B「………、ポーチドエッグって、食べるときに、ケチャップかけたりしてない?」

A「しない!何で味付けてるか知らないけど!!とにかく今の俺は塩で食う!!ほら!ポーチドエッグ10だよ!!」

B「………マジか。例えばなんだけど、ポーチドエッグ4、ゆでたまご6になったりとかは?」

A「なんで板東英二を勝たせようとするんだよお前は!!ポーチドエッグ10って言ってんだよ!ほら、これならいいだろ!」

B「…わかりました。ポーチドエッグ10個、受理します。」

A「おう!ほら!誰か答えろ!!」

B「ポーチドエッグ10個!卵料理に選んだ!あなたの好きな!芸能人は!!」

A「ああ!!!」

B「、、、草野仁です。」

A「好きじゃねえよ!!別に草野仁!!ポーチドエッグ関係ねえじゃん!!」

B「ポーチドエッグ10個選んだあなたの、好きな芸能人は、草野仁。」

A「なんでゆでたまごとポーチドエッグで昔の世界ふしぎ発見が出来上がるんだよ!!ポーチドエッグから回答いかないと!板東英二から連想しやがって!クソマジカルバナナが!」

B「今後お前の好きなオードリーは、板東英二草野仁だから。」

A「意味わかんねえよ!」

B「トゥースした草野仁板東英二がツッコむから。」

A「そしたらちょっと面白い可能性はあるだろ!」

B「藤岡弘、の真似をする若林正恭板東英二中尾彬の真似をする春日俊彰草野仁。」

A「何を言ってるんだぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ!もうやめだ!こんな心理テスト!!」

B「いやまあでも俺1個だけ、お前の心理でわかったことがあるよ。」

A「何!?」

B「お前はすごく、怒りっぽい。」

A「お前が怒らしてんだよ!いい加減にしろ。」