漫才 「バスケ」

漫才 「バスケ」
 
A「どーも、○○○と申します。よろしくお願い致します。」
B「本名です。」
A「コンビ名のつもりだったんですが。△△と××で、○○です。お願い致します。」
B「高校の時、かっこいい部活に入っておいたらよかったなあと思うんですよ。」
A「ああまあ確かにね。」
B「例えば、バスケ部とか。」
A「バスケは部活の花形的なところありますからね。」
B「『安西先生、バスケがしたかったです…。』」
A「まあ事後で言われても安西先生は困るだけだと思うけど。」
B「高校の時にかっこいいヤツで、『フリースローの小林』って言うのがいてさ。」
A「『フリースローの小林』?」
B「大事な場面でのフリースローを絶対に決めてくるの。」
A「ああ、それは確かにかっこいいかも。」
B「とにかくそいつが常に言ってたのが、『左手は添えるだけ』。」
A「コツみたいなのね。シュートの。」
B「そう。もうだから普段から『左手は添えるだけ』だったもん。」
A「普段から?」
B「飯食う時も茶碗に『左手は添えるだけ』。」
A「行儀のよさの問題な気がするけど。」
B「運転するときもハンドルに『左手は添えるだけ』。」
A「ごめん、高校の時の話だよね?大丈夫なやつそれは?」
B「キスするときも相手の頬に『左手は添えるだけ』。」
A「あらあ、キザですね。」
B「俺、それ聞くたびに思ってたよ。『右手は?』って。」
A「聞くなよそんなこと。」
B「右手はどの位置に置いたらいやらしくないんですかねえ!」
A「妬まないで。」
B「高校のガキが調子のってんじゃねえぞ!ボケが!」
A「いったん抑えましょう。」
B「とにかくかっこよかったし憧れなんですよ。」
A「その割にはすごい負の感情が見えたんですけど。でも確かに異名がつくとかっこいいし嬉しいかもしれない。」
B「でしょ?」
A「『スリーポイントシュートの××』とかね。」
B「ああ、いいね!」
A「『レイアップシュートの××』。」
B「いい!『ムササビシュートの××』。」
A「ムササビ?」
B「あれ?知らない?ハンドボールでさ、こう体を横に倒しながらシュート打つやつがあって、めちゃくちゃかっこいいの。」
A「ハンドボールだったら知らないよ?なんで勝手に競技変えちゃったの?さてはあんまりバスケのシュート知らないでしょ。」
B「知ってるよ!えーと、あれだよあれ!『ダンケシュートの××』。」
A「ダンクシュートね。」
B「ダンケ、ダンケ。」
A「腹立つ言い方だなあ。」
B「でもかっこいいでしょ?」
A「かっこいいけどあれは難しいんだよ。身長とかがないと。」
B「まあでも、コツとかは教えてもらえるしね。」
A「教えてもらえる?」
B「『安西先生、ダンケがしたいです』。」
A「安西先生、一番そういうの怒ると思うよ。真面目にならないとバスケに。」
B「そうかな?」
A「でもシュートだけじゃなくてもいいかもね。『ノールックパスの××』とか。」
B「なるほど!『ダブルドリブルの××』!」
A「反則じゃん。」
B「大丈夫、誰にもバレないようにやるから。」
A「バレなきゃ異名はつかないんだよ。ある程度の失敗率を誇ってないと。ふつうに『ドリブルの××』とかでいいんじゃない?」
B「『スライディングの××』。」
A「バスケだよね?」
B「大丈夫、誰にもバレないようにやるから。」
A「なぜ同じ言動を。だいたい無理だよ。かける相手がいるんだから絶対バレるよ?」
B「だから、誰にもバレないように誰もいないコートの隅っこのほうでひたすらやってるよね。」
A「なんの意味があるんだよ。バグかよ。ゲームに飽きた子供にコントローラーで操作されてんのそれは?」
B「そうかもしれない。」
A「そうかもしれないじゃないんだよ。ちゃんと真面目につけられたいやつとかないの?」
B「真面目にかあ。うーん、だったら『バスケの××』。」
A「そのものになろうとするなよ。掌るなてめえが。」
B「『××のバスケ』」
A「『黒子のバスケ』みたいに言うな。」
B「まあでもいざとなったら教えてはもらえるからね。『安西先生、バスケになりたいです』。」
A「一回ガチで怒られたほうがいいよ。いい加減にしろ。ありがとうございました。」