（真ん中と舞台上手のほうに机を置く 上手の机の上の見える位置にリコーダーを置いておく)
（Ｂ 真ん中の机に座って日直日誌を書いている ホイッスルを口にくわえている)
（ＡＢ ともに学生とわかる服）
Ａ「はいこれ。」
Ｂ「ピッ？」（※Ｂはホイッスル吹いて会話）
Ａ「教室の鍵。先に職員室から借りてきた。」
Ｂ「ピー。」
Ａ「日直日誌は？書けた？」
Ｂ「ピー。」
Ａ「そっか。まああと仕事黒板消すだけだし、俺やっとくわ。」
Ｂ「ピッ！」
（Ａ 黒板消しで黒板を消すジェスチャー）
（Ｂ 日直日誌を書くジェスチャー）
Ａ「あ、そういやホイッスル君ってさあ。」
Ｂ「ピー」
Ａ「いや、なんか周りからウワサで聞いただけなんだけど。」
Ｂ「ピー？」
Ａ「好きな人いるんだって？」
Ｂ「ピピーーーッ！！ピーーッ！ピーーッ！(首振りながらめっちゃ慌てる)」
Ａ「（笑いながら）絶対いるじゃん。」
Ｂ「ピピ―ッ！ピーッ！ピーーッ！（全力で否定）」
Ａ「いやいやバレバレだって！普段そんな取り乱して吹かないじゃんか。」
Ｂ「ピーッ…。」
Ａ「え？で、誰なの？好きな人？」
Ｂ「ピピッ！ピッ！（硬い表情）」
Ａ「言わないって…。しょうもないなあ。じゃあいいよ当てるから。そうだなあ。ホイッスル君なんだかんだで顔で選びそうなところあるからなあ。あ、佐伯さんとか？クラスで一番美人だし。」
Ｂ「ピーピ。(首を振る)」
Ａ「うーん？じゃあ木下さん？」
Ｂ「ピーピ。(首を振る)」
Ａ「えー、山田さん？」
Ｂ「ピー(首を振る)」
Ａ「あれー？マジかー？あとそんなかわいい子いないしなあ。仲村さんとかいるけどあんま喋んないし。」
Ｂ「ピピーッ！ピー！ピーッ！（全力で否定しながらめっちゃ笛を吹く）」
Ａ「仲村さんなんだ！」
Ｂ「ピピーッ！ピッ！ピーーーッ！（激しく首を振る）」
Ａ「いやいやバレバレだって！絶対そうじゃん！」
Ｂ「ピー。（顔を両手で隠す）」
Ａ「いやいや恥ずかしがることじゃないって。でもそっかー、仲村さんかー。ちょっと意外。」
Ｂ「ピー？」
Ａ「いやなんか、あんまりこういうこと言うのもあれだけど、仲村さんってとっつきにくいというか、あんまり喋んないじゃんか。どういうとこが好きなの？」
Ｂ「ピピー…。ピピーッ、ピーピー。ピピッ！ピピピピッピピ！ピピピー、ピピピーピピピーピピー…、ピピッ！ピピピピッ！ピピッ！ピッ！」
（訳：確かに…、仲村さんはしゃべらないし、雰囲気怖いとこあるけど…。でも、本当はそんな人じゃないと思うんだ。俺なんかに仲村さんは似合わないし、不釣合いだってことは自分でもわかってる。でも、やっぱりそれで諦めたくないし俺は仲村さんのこと本気で好きなんだ！わかる？）
Ａ「あ、うん、ごめん。あの全然何言ってるかはわかってないんだけど。」
Ｂ「ピーッ…。(落ち込む)」
Ａ「ごめんね、基本なんとなくでしゃべってるからさ…。でもそっかー、仲村さんかー。あ、じゃあ例えばさ、あそこ仲村さんの席じゃんか（上手の机指す）。」
Ｂ「ピー。」
Ａ「机の上さ、今日仲村さん、自分の席に笛忘れてるみたいなんだけど、(机の上のリコーダーを指す)」
Ｂ「ピー。」
Ａ「ああいうのって、舐めたいとか思ったりすんの？（笑いながら）」
Ｂ「……ピピーッ！ピーッ！ピッ！ピピーッ！(一番激しく吹いて怒る)」
Ａ「怒んなよ！冗談じゃんか！」
Ｂ「ピピーッ！ピーッ！ピッ！（ポケットからイエローカード出す）」
Ａ「イエローカード出すなよー。俺、昨日ももらったんだけど。」
Ｂ「ピピーッ！ピッ！（累積でレッドカード出す）」
Ａ「はいはい、じゃあ今日のところは退場しますよ。」
Ｂ「ピーッ！」
Ａ「(鞄持って)えーと、じゃあごめん。黒板も消しといたし。あと日直の仕事、日誌だけだから先生のとこに持ってっといてくれる？」
Ｂ「ピー。」
Ａ「あ、あとそうだ。レットカードもらったから、俺明日から２日間出席停止になるけど、先生によろしく言っといて。」
Ｂ「ピー。」
Ａ「じゃあね！バイバイ！」
Ｂ「ピーピー！」
（Ａ 舞台からはける）
（Ｂ しばらく机にむかって日誌を書く そのあとリコーダーのほうをじっと見る）
Ｂ「ピー」
（Ｂ あたりをキョロキョロ見たあと 仲村さんの座席のほうに近づく）
（Ｂ 上手の机の中からホイッスル取り出す(※リコーダーはダミー) そのあとくわえる）
Ｂ「ピー…///」
Ａ「（再び現れる）ごめん、忘れ物した…」
Ｂ「ピピッ！」
Ａ「…お前それ、仲村さんの！」
Ｂ「ピピーッ！ピピピピ！（言い訳）」
Ａ「（胸ポケットから自分のホイッスル出して）ピピーッ！ピピピ！（断罪）」
Ｂ「ピピッ！ピピピッ！（言い訳）」
Ａ「ピーー！ピッ！（レッドカード出す）」
Ｂ「(肩を落とす)」
Ａ「ありがとうございました(Ｂはホイッスルで)」
