漫才 「子どもができたら/犬太郎」

漫才 「子どもができたら/犬太郎」

A「3歳年下と5歳年下のコンビです。」
B「誰から見てなんでしょうか?○○○と申します。よろしくお願い致します。」
A「3歳年下のお前にはまだ早いと思うんだけど。」
B「お?お?5歳年下ですよね?後輩ですよね?敬語使ってください。」
A「子どもがほしいなあと最近よく思うんですよ。」
B「あー、確かにかわいいですしね、子どもは。」
A「元気にたくましく、わんぱくでもいいからすくすく育ってほしい。」
B「健康なのが一番ですからね。」
A「という思いを込めて『わんぱく』って名前にしようかと思うんだけど。」
B「取返しつかねえー。」
A「間違ってる?」
B「嫌でしょ『わんぱくくん』は。元気にたくましくわんぱくでもいいから”なんでしょ?なんで、でもいいからの部分を取っちゃうの?」
A「じゃあ、たくましくの部分から取って、『たくましん』。」
B「苗字を名前に含めるなよ。いるんだよ俳優に宅麻伸さんが。真剣に考えなよ、センスのない。」
A「なんで名前一つでそんな言われなきゃならないんだ!」
B「いや、言うでしょ。70年、80年子どもが背負うんだから。」
A「お前には子どもができちゃった時の気持ちがわからないんだよ!」
B「『ちゃった』が気になるなあ。。例えばこうさっきのだったらさ、普通に『げんき』とか、『たくま』とかでいいんじゃない?」
A「うーん、保留。」
B「響かなかったみたいです。せっかく言ったのに。ちなみにさ、子どもができたら何かやりたいこととかあるの?」
A「やりたいこと?」
B「例えばこう子供と一緒にキャッチボールしたいとか。」
A「あー、それなら一緒にリフティングやりたいよね。」
B「個人競技じゃん。時代なのかなあ。悲しいよね。」
A「あ、でもあれはやりたい!子どもが寝てる時に絵本を読んであげるの。」
B「寝てる時なら何一つ聞いてないけど。寝る時ね。いいんじゃないですか。」
A「『桃太郎』とか読んであけだいんだけど。でもさあ、覚えられるかが心配なんだよね。」
B「覚えられる?」
A「言っても結構長編だし。」
B「え?絵本読むんだよね?目の前に完璧なカンペがあるのに、なんで覚えようとしてるの?」
A「そもそも、桃太郎がなんで覚えにくいか一回考えてみたの。」
B「覚えやすくない?たぶんみなさん覚えてると思うよ桃太郎。」
A「登場人物がさ、多すぎると思うんだよね。」
B「両手で数えられるくらいだと思うんだけどなあ。」
A「でさ、覚えやすいように、登場人物を全部犬に置き換えみたから。」
B「なにそれ?」
A「一回読んでみていい?」
B「別にいいけど…。成り立つのそれ?」
A「『犬太郎』」
B「根っこが変わっちゃうんだね。」                
A「むかしむかし、あるところに、犬と犬が住んでいました。」
B「すでにおじいさんおばあさんの区別がついてないんだけど。大丈夫この話?」
A「犬は、山へ芝刈りに、」
B「何しにいったんだろうね。」
A「犬は、川で洗濯をしていると、」
B「服着てるタイプなのかな?もともと飼い犬だったとかかなあ。」
A「どんぶらこ、どんぶらこ、と大きな犬が流れてきました。」
B「生死が気になるなあ、その犬。大丈夫なの?」
A「犬は犬を食べようと、川から引き上げ家に持って帰り、」
B「さらっと共食いが起きようとしてるねえ。」
A「犬に包丁を入れると、なんと中から、おぎゃあおぎゃあと元気な犬が生まれてきました。」
B「帝王切開。残念なことに死産だけど。」
A「犬は犬から生まれてきた犬に『犬太郎』と名前をつけ、」
B「センスがないなあ。さっきのお前と同じだよ。犬から犬が生まれるのは当たり前だしね。」
A「大事に育てられた犬太郎は、すくすくと元気に育ちました。」
B「あと、おぎゃあおぎゃあって生まれてきてるけど、犬は人間の言葉しゃべらないから。」
A「そんなある日、犬太郎は突然こんなことを言いました。『犬、犬。』」
B「『おじいさん、おばあさん』って言ってあげてよ。家族なんだから。」
A「『遠くにある犬ヶ島には、悪い犬たちがたくさんいると聞きました。このまま放っておくわけにはいきません。僕は犬ヶ島に、犬退治に行ってきます。』」
B「縄張り争いだねえ。」
A「それを聞いて心配したのは、犬。」
B「おばあさん。」
A「心配した犬は、手作りの犬団子を犬太郎に持たせました。」
B「犬団子って何?ちょいちょいグロいのがさっきから出てくるんだけど。絵本に初めてCEROをつけようとしてない?」
A「『それでは行ってまいります』。犬太郎は犬ヶ島へと向かいました。」
B「行ってらっしゃい。」
A「犬ヶ島へと向かう途中、犬太郎に犬が声をかけてきました。」
B「これは原作にも出てくる犬ですね。正規の犬だね。安心できる犬。」                           
A「『♪いーぬたろさん、いぬたろさん。お腰につけた犬団子。一つ私にくださいな。』」
B「ごめん、おぎゃあがどうとか言ってたけど、普通に原作でも犬しゃべってたね。申し訳ない。」
A「『♪やーりましょう、やりましょう。これから犬の征伐に、ついてくるならやりましょう。』」
B「同族にすごい頼み方してますね。征伐て。」
A「犬が仲間になりました。」
B「犬2匹。」
A「さらに歩いていると、犬太郎に犬が声をかけてきました。」
B「そうなんだろうなとは思ってましたが。」
A「『♪いーぬたろさん、いぬたろさん。お腰につけた犬団子。一つ私にくださいな。』」
B「完全なデジャヴ。同じ手口ですね。ワンパターン戦法。」
A「『♪やーりましょう、やりましょう。これから犬の征伐に、ついてくるならやりましょう。』」
B「そして、犬団子ってそんなに欲しいものなの?」
A「犬が仲間になりました。」
B「犬3人組。」
A「さらにさらに歩くと、今度は犬太郎に、犬が声をかけてきました。」
B「めんどくせえよ!もうひとまとまりで来いって!」
A「『♪いーぬたろさん、いぬたろさん。』」
B「(一緒に歌う)『♪お腰につけた犬団子。一つ私にくださいな。』『♪やーりましょう、やりましょう。これから犬の征伐に、ついてくるならやりましょう。』」
B「3度目なんだよ!時間の無駄なんだって!」
A「こうして犬太郎に、犬と犬と犬の家来ができました。」
B「なんなのこの犬のカルテットは?」
A「そして、犬太郎たちは犬ヶ島へ向かうため、犬に乗り込んで海を渡り、」
B「犬に乗り込むって何?え、何?ヤッターマンに出て来る犬のロボみたいなやつに乗り込んでるのそれは?」
A「無事に犬ヶ島へと着きました。」
B「説明がないね。」
A「犬ヶ島で待ち構えていたのは、赤犬と青犬。」
B「ここに来て急に個性のある犬が。犬太郎以外の。」
A「そして巨大な金棒を持った犬の大将。」
B「画がちょっとわからないですけど。2足歩行なのそいつは?」
A「それをあっという間にやっつける犬太郎たち。」
B「一番大事なところが急展開ですね。」
A「やっつけられた犬の大将は、今まで悪いことをしてきたお詫びに、犬が大量に入った宝箱を犬太郎に渡しました。」
B「箱が豪華なだけの捨て犬ですよねようは。」
A「こうして、家に帰った犬太郎は、犬、犬ともらった犬で平和に仲良く暮らしましたとさ。めでたし、めでたし。」
B「最後、誰を指してるのかがわかりにくかったけど。」
A「どうだった?」
B「ムチャクチャだよ、絶対やめたほうがいいよ。」
A「じゃあ違う話にしようかな。」
B「何か他に読みたいやつでもあるの?」                      
A「『101匹わんちゃん』。」
B「犬好きだなあ。やめさせてもらいます。ありがとうございました。」