漫才「一人暮らしの部屋」

漫才「一人暮らしの部屋」

 

A「どーも、よろしくお願いします。」

B「最近、一人暮らしを始めて。」

A「あーいいですね。」

B「まあ楽しいは楽しいんだけど、やっぱり悩みもあるっていうか。」

A「あーそうなの?」

B「部屋がねー、余っちゃってんだよねー。」

A「? 部屋が余る?」

B「あのー、俺一人暮らしするの今回初めてでさ、どういう部屋にしたらいいかわからなくて、知り合いの女の子にちょっと相談したの。」

A「知り合いの女の子。」

B「俺の両親もさ、一人暮らししたことないからそういう話全然わからなくて、その子もうだいぶ前に地方から引っ越してずっと一人で暮らしてるから、そういう話詳しいだろうって。相談乗ってもらったの。」

A「ほう。」

B「で、まあ一人暮らしだし、部屋の広さ1Kかワンルームでも全然いいかなあって話ししたら、え?いや1LDKか、なんだったら2LDKあっても別にいいんじゃないみたいな話されて。」

A「…はあ。」

B「で、まあとりあえずは1LDKにしたんだけど、やっぱなんか広いんだよねー。」

A「ふーん……。え、ちなみにさ、その女の子ってどういう関係なん?」

B「ん?いやまあ、なんていうか普通の友達だよ?まあたまにご飯とかは行ったりするけど。」

A「あ、そうなんだ。彼女さんとかではないの?」

B「ないないない。ほんとに、普通の友達。」

A「あ、そう。………。え?お前あれだよね、一人暮らしする、って言ったんだよね。」

B「うーん、言ったと思うけどね。『今度俺実家を出ようと思ってて、あんまり部屋のこととか詳しくなくてさ、一緒に住む部屋考えてくれない?』って」

A「あ!やってんねえこいつ!!!」

B「?」

A「やりましたわあ!!こいつ!!完全にやりましたああ!!!」

B「何の話?」

A「アイリピート!!一緒に住む、部屋、考えてくれない?やってますわあああ!」

B「でさ、お前から見ても、1LDKってやっぱ一人暮らしするには広いんかな?」

A「違う違う違う違う。もうお前の一人暮らしの部屋、一人で暮らすことが、想定されてないの。」

B「どういうこと?」

A「なんでピンときてないんだよお前!わかるだろ普通!」

B「あー、でもそういうことなのかな。」

A「他にもその女の子なんか言ってただろ。」

B「あーなんか、キッチンは、広いほうがいい。みたいな話されて。」

A「ほら!やっぱそうじゃん!!」

B「いやでも俺別に全部コンビニとか外食で済ますよ?って言ったら、いや!絶対ちゃんと手で作ったものを食べたほうがいいからって。」

A「めっちゃええ子やん…。その子もう作ってくれる感じやん…。うらやまじゃん…。」

B「で、俺最近頑張って自炊始めたんだよね。」

A「お前は作らなくていいんだよ!なんで自分で作ってるんだ!馬鹿かお前!!」

B「いやまあでも意外とごはん作るの楽しいけどね。」

A「ぬぅぅぅぅぅん!!(地団駄を踏む)」

B「お前なんでさっきからそんな怒ってんの?」

A「俺にはああ!そういう女の子がいないからああ!」

B「…?え、じゃあなんだったらその子一回紹介しようか?」

A「やめろお前!気持ちグッチャグチャになるだろ!何考えてるんだ!?」

B「いや別にそんな俺の知り合いだからって変に気遣わなくてもいいよ?」

A「俺のじゃねえよ!!その女の子の気持ちを!お前はもっと考えろって!さっきからずっと言ってんだよ!!」

B「でさ、他にも悩みあってさ。」

A「ああ?!他にも?」

B「そのもともとワンルームとかで考えてたからさ、1LDKでキッチン広めとか条件いろいろ考えてたら、結局予算に合うとこがなくてさ。」

A「そりゃそうなるよ。」

B「でまあ悩んでたらその子が、いや?私全然半分出すよ?って言ってくれたんだけど、」

A「ええ子すぎるって…。もはや天使やんその子…。何やってんだよお前…。」

B「え?なんで?ってなって。」

A「違うんだってだから。」

B「え?俺の一人暮らしの部屋に?この子がお金を半分出す?意味わからん意味わからん意味わからんって思って。」

A「もうお前が意味わからんねんで、この話。」

B「でそれは断って自分の予算で部屋探したんだけど、最終的に事故物件しかなくて。」

A「事故物件?」

B「そう。で住んでみたら、わりとくっきりとした幽霊が出るところなの。」

A「ええ……。」

B「俺さあ、今、幽霊と一緒に暮らしてるんだよね。」

A「お前結局一人暮らしするって言って、一人で暮らしてねえじゃねえか!!なんなんだこいつ!!」

B「え?でもさっき言ってた一人で暮らすのが想定されてないって、そういう話でしょ?」

A「そんなわけねえだろ!いい加減にしろ。ありがとうございました。」