漫才 「無人島」

漫才 「無人島」
 
A「あのさあのさ、無人島に、1つだけ持っていくとしたら、何持ってく?」
B「無人島に?1つだけ?」
A「うん。」
B「(ちょっと考えて)夢と希望。」
A「1つ。○○○と申します。よろしくお願い致します。あのごめんなさい、1つなので。あとできれば形あるもののほうが…。」
B「うーん、なら単3電池2本かな?」
A「まあまあ2本は1セットとして認めますけど。そんなもん持ってってどうすんの?」
B「ゲームボーイ遊ぶのにさ、電池がいるんだよね。」
A「それはどこから?ごめんなさい、全くいらないものが勝手に密輸されてれるんですけど。」
B「えー?じゃあそういうお前は、無人島に、1つだけ持っていくとしたら、カニ持ってく?」
A「持ってかない。」
B「え?」
A「カニは持ってかない。」
B「なんで?」
A「最悪現地調達するから。」
B「うーん。でもそれを言うんだったらゲームボーイも。」
A「ないよ。無人島にゲームボーイは。ネットなかったらこっちでも手に入れるのそこそこ苦労すんのに。」
B「そっか。」
A「あ、じゃあ、無人島に、1人だけ連れていくとしたら、誰連れてく?」
B「無人島に?1人だけ?」
A「うん。」
B「(ちょっと考えて)ご両親。」
A「1人。ご両親って。言い方気になるんだけど。」
B「まあ言ってもお前のだしね。」
A「俺の?俺の両親連れてくの?」
B「もちろん。」
A「え?なんで?」
B「なんていうかさ、この世の中、辛いこととかいっぱいあって、人生嫌で嫌で仕方ないと思うんだよね。だからこの辺でそういうこと忘れてさ、1回リフレッシュしてもらおうと思って。」
A「やめてくれる?俺の両親の人生、勝手に疲れさせんの。決めつけないで。」
B「親孝行、親孝行。」
A「自分のでやれよ。大体俺の言ってる無人島サバイバルだからね?なんかお前2泊3日のリゾート感覚で言ってるけど。」
B「じゃあそういうお前は、無人島に、1人だけ連れてくとしたら、俺連れてく?」
A「連れてかない。」
B「なんで?」
A「え?ゲームボーイやるんでしょ。」
B「絶対やる。」
A「じゃあ連れてかない。俺だけ閉じられた質問で聞いてくるのやめろよ。選ぶ楽しさが欲しいんだけど。」
B「うーん、でも残念だな。せっかくやりたいことあったのに…。」
A「え、何?なんか無人島でやりたいことあったの?」
B「漫才やろうぜ!」
A「やらねえよ。なんでそんなとこで漫才しないといけないんだよ。」
B「俺たちの漫才でさ、島中を、笑いの渦に変えるんだよ!」
A「無人島だっつってんだろ。誰が笑ってるんだ。こんな毛の生えた漫才で供給過多を起こしやがって。幻聴だろ幻聴。」
B「幻聴って…。笑ってるのはもちろん森の動物たちだよ。」
A「森の動物?」
B「そうだよ。俺たちの漫才を見て笑い声が『ウホッ!ウホッ!』」
A「ゴリラかなんかが?俺たちの漫才で?」
B「右からは『ガルルルル!』」
A「トラか何かが。」
B「奥からは遠吠えで『ウオーン!』」
A「オオカミが。お前この島猛獣しかいねえじゃねえか。滑ったその日には食いちぎ殺されるぞこれ。」
B「いやあ、テレビ出れるな。」
A「できたらな。そりゃ島の動物たち笑わせられたらテレビに取り上げられるでしょうよ。」
B「そしたら俺たち売れっ子じゃん。」
A「不可能という文字を除けばね。」
B「いやでもやっぱりすごいよ。考えただけでワクワクするし。いやあ、無人島に持っていくのはやっぱり、夢と希望だな。」
A「結局それかよ。いい加減にしろ。どうもありがとうございました。」