コント「火災現場から中継」

コント「火災現場から中継」

 

A「えー、たった今速報が入りまして、市内の民家から火災が発生しているとのことです。現場から中継が入っています。現場の丸山さん。」

B「はーい!現場の丸山です!私はいま!どこにいるでしょーか!?」

A「あ、いらないです。めちゃくちゃいらないですそういうの。」

B「正解は、私の、自宅でしたーー!」

A「いったんお返ししてくださーい。えー、大変失礼いたしました。カメラ、音声、ディレクター、なぜ全員彼の自宅に行ったのかよくわかりませんが、今回の件深くお詫び申し上げます。」

B「あ、すいませーん。田中さーん、聞こえてますかー?」

A「はい?」

B「たった今ですね、現場のほうに到着しました。」

A「早っ。えっ何?ワープしましたあなた?」

B「実はですねー、今回の火災現場、私の自宅の隣の家でして。」

A「あ、そうなんですか?」

B「はい。なのでついでにちょっと干してた洗濯ものも取り込みにいってた感じです。」

A「そんな悠長な。隣火事なんですよ?」

B「いやーやっぱ隣が燃えてると乾きが早いですねー。」

A「あと全国ネットで住所がおそらく身バレしてるんですけど。とりあえず現場の様子教えていただいてもいいですか。」

B「はい。現在消防の方が消火活動にあたってるんですが、まだ火は一向に消える様子がありません。まるで高校球児のようにメラメラと燃え上がっています。」

A「いらないですよそういう喩えも。高校球児を見て炎のようにとかならいいんですけど。」

B「えー、また特に今現場は危ない状態でして、消防の方からは、『今ここに近づくのは危ない』『消火活動の邪魔にもなるので興味本位で近づくのは止めてほしい』と、みなさんに伝えてほしいのか、私のほうに何度も強く訴えかけられています。」

A「それたぶんあなた本人に言ってる可能性ありますよ?ですよね。あのー、普通こういう中継って、わりとヘリとか飛ばすんですよ。」

B「あ、たった今、隣の家に火が燃え移りました。」

A「大丈夫ですか!?あなたの自宅でしょ?」

B「あ、でも逆隣のほうなので。」

A「そうなんですか。」

B「はい、風向きが幸いして。逆隣でほんとラッキーって感じです。」

A「あんまりうかつな発言は気を付けてくださいね。あなたがネットで燃えますので。」

B「どうでしょう?何かご質問ございましたら番組公式twitterのほうに書きこんでいただいて。」

A「あ、すいません直接聞かせていただいても大丈夫でしょうか。」

B「視聴者の方からもドシドシ募集してますんで。」

A「してないですよ?勝手にフロアの仕事増やさないでください。火災の原因、こちらは何か判明しているのでしょうか?」

B「はい、原因なんですけれども、まだ消火が終わってない状態なのではっきりとしたことはわかっていません。ただ火災発生時、住民の方は外出されていたとのことから、火の不始末か、もしくはゆきなの可能性もあると見て、警察の方も動かれている状況です。」

A「……………ゆきな?」

B「……あ、失礼しました。放火の間違いです。」

A「どういう間違い?何を間違えたのでしょう?」

B「すみません、木下つながりで。」

A「……いやあのー、それではですね、そんな簡単に我々ピンとこないんですよ。木下ほうかから木下優樹菜にいったと言われましても。まずいかないですよ?」

B「まあでも優樹菜も燃えてましたからね。」

A「そこでつなげられても。けが人とかはいないのでしょうか。」

B「はい、幸いですねけが人は出てない状態で。今回近くに住んでる方の声もお聞きしましたが、『お、今日もしかしてこれ終わったら直帰で帰れるじゃん。ラッキー。』とのことでした。」

A「それたぶんあなたの声ですよ?隣燃えていてよく帰る気になりますね。」

B「現場からは以上になります。チャンネル登録、高評価ボタン、twitterのフォローもよろしくね。お返ししまーす。」

A「テレビですよこれ?何を登録するんですか?………えー、改めましてですね、視聴者の方には、中継に不適切な内容が度々あったこと、深くお詫び申し上げます。」

B「あ、すいませーん!田中さーん!」

A「はい?今度は何?」

B「たった今ですね、私の家にも火が燃え移りまして、今晩すみませんが泊めてもらってもいいですか?」

A「好きにしてくださーい。」