漫才「合コン」
A「はじめまして。りりろらといいます。」
B「へー、あなたもりりろらっていいうんだ。」
A「同じコンビですからね。私と彼女でりりろらです。お願いします。こないだ私合コンに行ってきて、」
B「あらあら、お盛んなことで。」
A「お盛んって。別に私も行きたくて行ったんじゃなくて、友達がどうしても人数足りないって言うからしょうがなしで行ったの。」
B「へー。行きたくもない合コンに無理矢理誘われて付き合わされる。それって本当に友達と呼べるのかしら?」
A「友達よ?あなたその姿勢で人付き合いしてたらただただしんどいだけよ?で、まあ5対5の合コンだったのね。」
B「うわあ。淫ら。」
A「淫らって。どういう解釈?」
B「だって5対5の状況をちゃんと考えてみて?サッカーで考えたら、5対5はめちゃくちゃ試合荒れてるわよ?」
A「それはサッカーで考えたからじゃない?点すごく入ってるし、キーパーどこ行ったんだって思うけど。」
B「キーパーいないかもしれないわね。両チーム6人ずつ退場してるから。」
A「? あ、もしかして5対5って人数のこと言ってる?」
B「そうよ?え?合コンも人数でしょ?」
A「あごめん私点数の話かなと思ってた。」
B「フットサルか!!ってツッコんでほしかったよね。」
A「ごめん。ただ一応言っておくけど、サッカーって5人退場したらその時点で試合終了するから。」
B「あ、そうなの?」
A「私ね、ウイイレで後ろからボール持っていない選手スライディングしまくってたから、そういうのちゃんと知ってるの。」
B「へー。そうなんだ。……これ何の話だっけ?」
A「合コン。5対5で合コンしたの。」
B「へー、でも私合コンしたことないから、この場でちょっと合コンやってみたいな。
はじめまして!みなさんよろしくお願いします!名前ですか?ごめんなさい私名前ないんです。」
A「ないって何よ。ないわけないでしょ。」
B「私、出生届がまだ出し忘れられてる状態で。」
A「20年近く何やってるの?戸籍無いのあなた?学校よく行けたわね?」
B「それで、お名前聞いてもいいですか?ダイキさん。ごめんなさい苗字で教えてもらってもいいですか?」
A「距離ちょっと空けようとしてるじゃない。いいでしょ名前で。」
B「あ、常田さんっていうんですか。よろしくお願いします。で、お隣が?勢喜さん?へー珍しい苗字ですね。で、あなたは?新井さんで?そのお隣が?へー井口さんって言うんですかー。」
A「King Gnuね。私わかるわよ。King Gun揃ってるじゃん。」
B「え!あ!King Gnuなんですか?ごめんなさい私、なんか髭生やしてたから、絶対この人無職なんだろうなあって思ってました。」
A「失礼すぎるでしょ!髭生やしてても働いてる人なんていっぱいいるからね。あなたわかってるKing Gnuのこと。すごいのよ。白日とか。」
B「知ってます!私何度も繰り返し聞いてます!あれですよね。ぺこぱの逆、歌ってる人ですよね?」
A「ぺこぱの逆?」
B「ほら、『時を戻そう』の。」
A「……。『もう戻れないよ 昔のようには』は別にぺこぱの逆ではないのよ。そんなつもりで歌ってないの。」
B「いやでも私あの歌詞、ずっと意味わかってなくって、あれってもしかして、GoTo始めて後戻りできなくなってる、菅総理の心情を歌ってるんですか?」
A「そんなわけないでしょ。GoToが後なのよ白日より。曲聞いてたら意味くらいわかるでしょ?」
B「ごめんなさい、私その部分だけ繰り返し聞いてたから。」
A「ワンフレーズだけリピート再生してるの!?曲全体を聞きなさい全体を。曲すべてを聞いて、歌詞の繊細さに酔いしれなさい!」
B「で、最後の一人は?へー、苗字が無いんですかー。」
A「なんで無いのよ苗字が!戸籍無い人OKの合コンこれ?」
B「じゃあ下の名前は?へー、瑛人さんって言うんですね。」
A「まさかの香水の人じゃん。これどういう集まりなの?女性側にLiSAとかがいないと成り立たわないよ。」
B「あ、でも瑛人さんってあれですよね。クズになった人ですよね?」
A「認識がおかしいって。あなた、『クズになった僕を』の部分だけまたリピート再生してるでしょ。」
B「ちゃんと曲全部聞いてますー。えー、じゃあ瑛人さんはー、今日私の香水の匂いー、覚えて帰ってくれたりするんですかー?」
A「うっぜ!この女うっぜ!言われまくってるんだろうな瑛人さん。」
B「あ、でも、私香水とか全然つけないんで、もしかしたら、オロナインの臭いとかするかもしれません。」
A「傷口あるのあなた?今すぐ見せなさい。私塩塗ってあげるから。だんだん腹立ってきた。」
B「あ、じゃあ、LINE教えてもらってもいいですか?」
A「すごいグイグイいくじゃん。」
B「ちゃんと夜中に、いつ空いてるのってLINE送るんで。」
A「迷惑なだけでしょうが!うっぜ!この女うっぜ!」
B「あ、でもちゃんと3年くらい会ってないくらいのタイミングで送りますよ?」
A「覚えてないわよこんな合コンだけで会った一見の女!誰だこいつで既読スルーよ。」
B「えーでももし私がー、瑛人さんと仲良くなってー、結婚なんかしたりしちゃったらどうしよー?」
A「氏名がNULLよ!苗字がない奴と!名前がない奴が結婚して!完全な空白よ!」
B「そんなことしたら、私真っ新に生まれ変わっちゃうわね。」
A「真っ新に生まれ変わって!一から人生始めようが!へばりついて離れないけどなあなたへのこの苛立ちは!!それと瑛人は絶対苗字があるから!今すぐWikiで調べなさい!!」
B「いやあ、合コンって楽しいわね。」
A「こんなんじゃないのよ。いい加減にして。」