漫才 「寿司職人」

漫才 「寿司職人」
 
A「どーもー。○○○と申します。よろしくお願い致します。がんばっていきましょうか。」
B「がんばりましょう。」
A「最近、高いお寿司屋さんに行ったんですけど、寿司職人ってかっこいいですよね。」
B「あー、職人ってかっこいいですもんね。へい!らっしゃい!何握りやしょう!」
A「お!寿司職人!じゃあマグロひとつ!」
B「あいよ!(何かを塗る仕草)
A「………ごめん、何してるの?」
B「あ、私、ネタとシャリの間にワサビを塗る職人です。」
A「そんな職人いねーよ。」
B「絞り袋ですべての寿司に同じ量のワサビを挟んでいます。」
A「職人は絞り袋使わねーんだよ。」
B「ワサビの井上です。」
A「異名は知らないけれど。」
B「こちら、ネタの木下です。」
A「ネタの木下??」
B「はい、彼はシャリの上にネタを乗せていく職人をしています。」
A「職人は乗せねーんだよ!」
B「すごく早いです。」
A「握れよちゃんと。」
B「こちらネタカットの川北です。」
A「ネタカット??」
B「はい、彼はネタを包丁でカットしていく職人をしています。」
A「ネタのやつといっしょでいいだろ!なんでさっきからそんな分業してるの?チェーン店か何かなのここは?」
B「こちらシャリのロボットです。」
A「チェーン店じゃねーか!」
B「彼はシャリを均一に握る職人をしています。」
A「ロボットの時点で職人じゃねーんだよ。気づけよ。」
B「こちらロボットメンテの田中です。」
A「ロボットメンテ!」
B「彼はシャリのロボットをメンテナンスする職人をしています。」
A「こいつ雇うんだったらシャリ握れるやつ雇えよ。」
B「こちらロボットメンテの和田です。」
A「2人目?」
B「シャリは重要なポジションなので2人います。」
A「だったらシャリ握れるやつ雇えって。」
B「こちらアガリの猪狩です。」
A「アガリの猪狩…」
B「彼はお客様が飲み切った適切なタイミングでアガリを出してくれる職人です。」
A「いらねーだろそんな職人。」
B「ガリの戸狩です。」
A「ガリ!」
B「こちら、カウンターのガリがなくなってきたときにちょうどいいタイミングでガリを補充する職人です。」
A「いらねーんだって!そんな役割聞いたことがない!そしてガリとアガリで名前が似てるからややこしいんだよ。」
B「アガリの猪狩はガリガリで、ガリの戸狩は気分のアガリガリが激しいで覚えていただければ。」
A「うるせーんだよ!ガリガリガリガリ!なあ寿司を握れる職人がかっこいいって話なんだよ?」
B「玉(ぎょく)の斎藤です。」
A「玉?」
B「彼は、寿司に使う厚焼き玉子を焼く職人です。」
A「まあまあ、厚焼き玉子を焼けるようになるにも、一人前になるには3年かかるって聞いたことがあるから、今までで一番職人っぽさはあるけど…。」
B「玉乗せの林です。」
A「玉乗せ!」
B「彼はシャリの上に焼いた玉を乗せていく職人です。」
A「ネタ乗せてたやつと一緒でいいだろそんなの!」
B「玉カットの石野です。」
A「だから!一緒でいいんだって。わざわざ分けるなそんなんで!」
B「玉ワサビの服部。玉シャリのロボット。玉シャリロボットメンテの日下部。玉シャリロボットメンテの中村。」
A「玉の寿司で1ユニット完成させるんじゃーよ!無駄なんだよいろいろと!」
B「アナゴだれの新田です。」
A「アナゴだれ?」
B「彼はアナゴの上にたれをサッと塗る職人です。」
A「なんでそんなピンポイントな職人がいるの?」
B「イクラ数えの星野です。」
A「イクラ数え…」
B「彼は軍艦の上に乗ってるイクラの数を数える職人です。」
A「どこで役立ってるのこいつは??いる?こいつ?」
B「皿数えの相田です。」                                     
A「皿数え。」
B「おあいそのとき、皿を数える職人です。」
A「職人も何もねーだろそんなの。」
B「おあいその三田です。」
A「おあいそ。」
B「お客様のおあいそにいち早く反応して皿数えを呼ぶ職人です。」
A「皿数えと兼任でやれって。」
B「皿洗いの上田です。」
A「雑用じゃねーか。」
B「彼は皿を洗う職人です。」
A「雑用の領域で職人技を身につけるんじゃねーよ。」
B「拭き掃除の渡辺です。」
A「雑用じゃん。」
B「机をキレイに掃除する職人です。」
A「雑用の領域で職人を名乗るな。」
B「掃き掃除の渡辺ジュニアです。」
A「弟!?」
B「床をキレイに掃く職人です。」
A「兄弟で掃除のスキルを仲良く身につけるな。」
B「暖簾の柳田です。」
A「暖簾…」
B「店の入り口に暖簾をかけたり外したりする職人です。」
A「1日2回とかだろ。開店のときと閉店のときぐらいだろこいつの仕事。」
B「経営の八田です。」
A「経営出てきた。」
B「彼はこの寿司屋の経営を守る職人です。」
A「ほんとに?職人だったらこんないっぱい無駄なやつ雇わないよ?人件費とか大丈夫?」
B「納豆巻きの佐藤、おしんこ巻きの瀬戸、かっぱ巻きの森田、」
A「人気のない寿司で一人一人雇うなって!経営絶対うまくいってないだろ!」
B「かっぱ寿司の野口。」
A「他店じゃねーか!」
B「かっぱ寿司と同じ寿司を握る職人です。」  
A「寿司握れるやつようやく出てきたね!他店のだけど!」
B「くら寿司の六道です。」
A「寿司握れるやつを競合他社で揃えるんじゃねーよ!」
B「彼はくら寿司のルーレットでアタリを毎回出す職人です。」
A「寿司じゃねーのかよ!そんな職人いるの?あれ、機械がランダムで決めてると思ってたんだけど?」
B「くら寿司のロボットです。」
A「持ってくるんじゃねーよ!」
B「仕組みがわかります。」
A「いらんいらん!ここの寿司屋でくら寿司は解明しなくていいから。」
B「くら寿司ロボットメンテの津田。くら寿司ロボットメンテの輪島。くら寿司経営の石狩。くら寿司ネタ乗せの―」
A「くら寿司が押し寄せてくるんじゃねーよ!寿司屋でくら寿司を完成させようとするな!」
B「うどんの後藤です。」
A「寿司わい!」
B「おいしいうどんを打つ職人です。」
A「寿司屋がサイドメニューに力を入れるんじゃねーよ!」
B「牛丼の深沢です。」
A「だから寿司は!」
B「牛丼を超える牛丼を作る職人です。」
A「寿司に力を入れろって!本業を大事にしないのが一番職人じゃねーんだよ!」
B「くら寿司経営の石狩が怒ってカリカリしています…。」
A「くら寿司を批判したいわけじゃないんだよ…。サイドメニューに力を入れるのが一番職人とは程遠いってだけなんだよ…。」
B「くら寿司経営の石狩はガリの戸狩と同じで気分のアガリガリが激しいからよくカリカリするんです。」
A「だからうるさいんだよカリカガリガリ!こっちがカリカリするわ!」
B「ラーメンの矢田です。」
A「帰れ帰れ!」
B「おいしいラーメンを作る職人です。」
A「いらないんだよ寿司屋に!」
B「麺茹での飯田、スープ入れの辺見、メンマ乗せの村田、チャーシューカットの西村。」
A「サイドメニューのラーメンまで職人を分業するなって!」
B「一蘭の上村です。」
A「関係ないラーメンで他社のやつを呼ぶな!」
B「以上が、うちの店の職人の一覧になります。」
A「一人もまともな職人がいねーじゃねーか!なあ!寿司職人がかっこいいって話だったんだよ!一人はちゃんとした職人を連れて来い!」
B「お待たせしました。ツッコミの塩山です。」
A「いや全然職人とはほど遠いねん!まだまだ勉強させていただきます。ありがとうございました。」