←その1から
(Aパソコンを動かす)
A「マジかよ…。何、盗んでみたで検索したら出んの?」
B「おう 『盗んでみた 柳川』とかで出る」
A「本名じゃん…。馬鹿じゃないのお前…?あった。これ?」
B「おう、それ」
(A 動画見る)
A「えーなにこれ。人ん家のタンスめちゃくちゃ漁ってんじゃん…」
B「ちゃんと撮れてるだろ」
A「……。あれ?これおばあさん帰ってきたよ?家の人じゃないの?」
(A 動画2,3秒見る)
A「お前おばあさん殴ってんじゃん!」
B「いやそれ、急に帰ってきっちゃってさ。そのときはマジで慌てたよ!ハプニングだよハプニング!」
A「………ボコボコじゃん…」
B「いやーびっくりしたよなーほんと(笑)」
A「………帰って」
B「?……ん、何?怒ってんの?いやでもそんな大したケガとかじゃないから別に」
A「(大声で)いいから帰れよ!」
B「………わかったよ」
(B 自分の鞄持ってドアのほうにいく)
A「お前、最後に確認するけど、本当に今日何も盗ってないよな?」
B「盗ってないって」
A「本当に?」
B「盗ってないよ。疑いすぎだって」
A「いやでも」
B「うるさいなー(少しイラッとする)」
A「そんなのあんな動画見せられたら誰でも――」
B「だーもう!うっせえな!いいか!通帳はそこのタンスの中だし、印鑑はそこの引き出しの中!もう一つの通帳はそこの奥にしまってる金庫の中で、暗証番号はお前の誕生日だった!鍵の開け方は来たときに試したからもうわかってる!日曜は休みでずっと家にいるみたいだから来れないけど、平日はお前は勤務してるから家はがら空き!彼女はいないから急に部屋に誰か来たりすることもない!こんな家な!!いつだって盗れるんだよ!バーカ!!!」
(A 絶句する)
A「……………お前マジか…。」
B「あ…。いや!違う!今のは!(慌てる素振り)」
A「出てけ!いいから出てけよ!」
(A Bの背中を押し家から追い出す そのあと部屋の鍵をかける)
B「………」
A「………」
(A ドアを背中のほうにした状態で立つ)
B「……ごめんな…。違うんだ今のは…。なんていうか職業病みたいなものでさ…。ついカーとなっちゃって…」
A「………」
B「……オレさ。向こうに行ってから、全然うまくいかなくってさ…。知り合いっていうか、しゃべれる人もずっといなかったし…。」
B「だからさ、今日お前と久々に会えたの、すごいうれしかったんだ…。……あのさ、もう無理かもしれないけど…。できればまた、もう一度お前と仲良く話したいんだ」
A「………(ドアのほうを振り返って)ごめん、俺も言い過ぎたかもしれ――」
B「だからさ」
(B 針金で鍵を開けてドアを開ける)
B「また、来るから」
(B ドアを勢いよく閉めて立ち去る)
(A 少しの間、呆然とする)
A「………やばいやばいやばいやばい。引っ越さなきゃ」
(A タンスの引き出しを開けて、通帳を探す)
A「………あれ!?ない!!なんで!!??」
A「……………なにこれ??」
(A タンスからカメラを出す)
(B 包丁持って戻ってくる)
-終-