漫才 「鶴亀の恩返し」

漫才 「鶴亀の恩返し」
 
A「○○○と申します。お願い致します。」
B「子どもができたら寝る前に絵本を読んであげたくて。」
A「なるほど。」
B「薬で寝かしつけてでも絵本を読んであげたい。」
A「そんな無理矢理な。でもまあ絵本を読み聞かせること自体は教育にもいいですからね。」
B「何読んだらいいと思う?」
A「うーん、それなら『鶴の恩返し』は?」
B「ああ、うろ覚え。」
A「まあ実際は絵本を読むわけですから覚えていなくても。」
B「どんな話だっけ?」
A「どんなって…。鶴が女性の姿になっておじいさんに恩返しに来るんですよ。ほら、『あの時助けていただいた―』」
B「ああ、でも小学生以来だなあ。」
A「小学生以来?」
B「あの時足させていただいた鶴亀です。」
A「違う違う。鶴亀算は関係ないよ?」
B「先日は自分たちが何羽と何匹いるか教えていただき、ありがとうございました。」
A「現場でないだろそんな場面。足の数だけわかってるみたいなこと。」
B「あの、恩返しがしたいので、家にあがらせていただいてもよろしいでしょうか?」
A「はあ、まあどうぞ。」
B「すみません大勢で来てしまって。」
A「まさか鶴亀算にいた全員で来てない?何人いるの?」
B「46人です。」
A「迷惑だよ!入らないよ家に。」
B「さて、ここで問題です。今、私たちの頭の数は全部で46。足の数は92本。さて、鶴が何羽で、亀が何匹でしょうか?」
A「え?今みんな人間の女性の姿ですよね。」
B「はい。」
A「じゃあ無理だよ。みんな2本ずつだから。解なしだよ解なし。あの、多すぎるので鶴と亀1匹ずつにしてもらえません?」
B「じゃあ私、鶴の生駒と、亀のまいやんが残ります。」
A「え?女性の姿って、今みんな乃木坂に変身してるの?」
B「はい。それじゃあ残りは帰りますので。バッサアアア!!」
A「うるせえ!鶴が一斉に羽ばたくから。近所迷惑だよ。」
B「(ゆっくりと四足で歩く亀)」
A「そして何十匹の亀が遅い!人間の姿のままで帰ったらいいんじゃない?」
B「すみません。この姿でウロウロして写真を撮られると、本物に迷惑がかかるので。」
A「なんで乃木坂の姿で来たんだよ。おじいさんが家の中にいれるこの状況も写真に撮られたら危ないからね?」
B「恩返しに、おじいさんに歌とダンスを披露しようと思って。」
A「鶴と亀が何に挑戦してるんだよ。おじいさんに乃木坂の良さはわからん。」
B「ただ、2人ではできなくなってしまったので…。あの、変わりに旗を折りますので、できれば部屋を1部屋ずつ貸してもらえませんか?」
A「1部屋ずつ?」
B「1部屋ずつ。」
A「まあ家広いからいいけど。急に来て2部屋はそこそこ厚かましいことを覚えといたほうがいいよ?」
B「ありがとうございます。」
A「これ、亀も機を織るの?」
B「亀は別の形で恩返ししますので。それでは作業を致します。あの…、その間、絶対に部屋をのぞかないでくださいね。」
A「別にいいけど。もうバレちゃってるからね。最初に正体言ってるから。」
B「それではしばらくお待ちください。キー、バッタン。キー、バッタン。」
A「ああ、鶴が部屋で機折ってくれてるなー。」
B「ポコポコ!ポコポコ!ポコポコ!ポコポコ!ポコポコ!」
A「何の音!何の音!何の音!?ごめん!亀は一体何やってるの!?」
B「キー、バッタン。キー、バッタン。」
A「そっちはいいんだよ。そっちは問題ないんだよ別に。」
B「ポコポコ!ポコポコ!ピロリ!ピロリ!ピロリ!」
A「なんか1UPしてない?ちょっと!1回部屋開けるよ!」
B「ダメです!今見られては鶴の姿で旗を織ってるのが!」
A「そっちじゃねえよ!そっちはわかってる。ちょっと亀さん!開けるよ!」
B「すみません…、部屋を散らかしてしまって。」
A「家財道具がめちゃくちゃに…。ちょっと!何やってるの!」
B「すみません…、おじいさんの残機を無限に増やそうと思って。」
A「残機ってのは何!?こっちそんなシステムでやってないからね?」
B「これでおじいさんはあと99回死ねますので。」
A「永遠の命を手に入れてしまった…。このタイミングで。え、この年でこれから俺冒険に行くの?」
B「すみません、旗が織りあがりました。」
A「いやもう、今それどころじゃないんだよ。」
B「これ、ゴールの旗ですので。」
A「マリオの旗を折るんじゃないよ!三角形の。下に降りてくるやつを。」
B「一度ゴールに自分で置いていただければ。」
A「ゴールに置いた瞬間おじいさんはゴールしてるから!そこでゴール!好きな時にゴール!誰がセルフで置くんだこれを。」
B「あの、今日のことは絶対誰にも言わないでくさだいね。」
A「言うかこんなこと!鶴と亀が乃木坂の姿で来て、永遠の命を手に入れて、これから冒険に行きますって。ボケたと思われるわ!」
B「それでは私たちは帰りますので。バッサアアア!!」        
A「1羽でもうるさい!1羽でも大してうるささが変わらなかった!なんなんだよ…。部屋散らかして迷惑だけかけて。全然恩返しになってなかったぞあいつら。」
B「(ゆっくりと四足で歩きながら)本当にすみませんでした…。」
A「いや、亀の帰るスピードが遅い!いい加減にしろ。ありがとうございました。」