漫才 「むかしばなし」

漫才 「むかしばなし」
 
A「○○○と申します。よろしくお願い致します。」
B「子どもができたらむかしばなしを読んであげたいなと思うんですよ。」
A「いいんじゃないですか。」
B「『アダムとイブ』。」
A「思ってたのと違った。昔の話だけれど。」
B「むかーしむかーし、あるところに、」
A「創世記のエデンの園だよ。」
B「アダムのおじいさんと、イブのおばあさんが住んでいました。」
A「人類最初なんだよアダムとイブは。やめてくれる根底覆すの?」
B「じゃあもうアダムとイブでいくよ。」
A「そもそもその語り口でいくの?」
B「アダムは山へ芝刈りに。」
A「行くかなあ?アダム。」
B「イブは川で洗濯をしていると、」
A「イブ真っ裸なんだけど。服着てないんだけど何を洗ってるのそれは?」
B「どんぶらこ、どんぶらこ、と大きな林檎が流れてきました。」
A「禁断の果実が。川上から。」
B「イブは林檎を食べようと、川から引き上げ家に持って帰り、」
A「なんてこったいみなさん。イブ、全く禁断の果実に抵抗がありません。」
B「林檎に包丁を入れると、おぎゃあおぎゃあと中から元気な赤ん坊が生まれてきました。」
A「人類最初の赤ちゃん、林檎から生まれましたね。」
B「アダムとイブは生まれてきた赤ちゃんに、『桃太郎』と名前をつけ、」
A「ありえねえだろ絶対。日本の名前だし、林檎から生まれてきてるのになんで桃でつけるんだよ。」
B「ないかな?」
A「確か、アダムとイブは3人子供がいて、それぞれカインとアベルとセトって名前のはずだから、そのどれかでつけたらいいんじゃない?」
B「アダムとイブは生まれてきた赤ちゃんに『カイン=トアベルト=セト』と名前をつけ、」
A「一人にしちゃった。くっつけないで名前を。」
B「体が1つで頭が3つの赤ちゃんは、」
A「体もくっつけないで。ケルベロスじゃん、もはや。」
B「すくすくと元気に育ちました。」
A「すっかり人外の存在なんですが。」
B「そんなある日、アダムは突然こんなことを言いました。『イブ、ケルベロス。』」
A「名前つけたんだから名前で呼べよ。ただのケルベロスじゃねえか。」
B「『遠くにある島には、悪い蛇たちがたくさんいると聞きました。このまま放っておくわけにはいきません。』」
A「確かにイブに禁断の果実を食べさせようと誘導したのは蛇ですからね。」
B「『僕は今日から、蛇退治に行ってきます。』」
A「蛇退治って。スケールが竹やぶなんですけど。」
B「それを聞いて心配したのはイブ。心配したイブは、アダムに手作りのきび団子を持たせ、」
A「ありえないんだってだから。イブがきび団子作るわけないだろ。岡山かよ舞台。」
B「『それでは行ってまいります。』 アダムは蛇ヶ島へと向かいます。」
A「蛇ヶ島。聞いたことのない地名が。」
B「蛇ヶ島へと向かう途中、仲間になりたいと、一人のノアが声をかけてきました。」
A「方舟作るやつだろそいつ。『ノアの方舟』の。アダムの子孫だから。時代がめちゃくちゃだよ?」
B「『♪ア――ダ―ム―、ア―ダ―ム―。』」
A「びっくりするほど、桃太郎のリズムに合ってませんね。」
B「『♪お腰につけたきびだんご、一つ私にくださいな。』」
A「欲しがるんですねきび団子。」
B「ノアが仲間になりました。」
A「なるんですねきび団子1つで。」
B「さらに蛇ヶ島へ向かっていると、今度は仲間になりたいと、一人のモーセが声をかけてきました。」
A「海割るやつだろそいつもたぶん。旧約聖書つながりか知らないけど。時代が合わないんだよだから。」
B「『♪ア――ダ―ム―、ア―ダ―ム―。岡山名物きびだんご。』」
A「岡山名物って言っちゃったよ。舞台はどこなのこれ?」
B「『♪一つ私にくださいな。』モーセが仲間になりました。」
A「蛇退治にすごい豪華なメンバーですね。」
B「さらに歩いていると、今度は仲間になりたいと、イブが声をかけてきました。」
A「追いかけてきてるじゃんイブ。なんで?」
B「『♪アーダムさん、アダムさん。』」
A「イブはさん付けなんですね。アダムと距離がありますね。」
B「『♪お腰につけたきびだんご、一つ私にくださいな。』」
A「お前が作ったやつなんだからお前いつでも食えるだろ。」
B「こうしてイブが仲間になり、アダムたちは4人で蛇ヶ島へ向かいます。」
A「犬に近いケルベロスがまさかのお留守番でしたが。」
B「いよいよもうすぐ蛇ヶ島。ですが、蛇ヶ島へ向かうには海を渡らなければなりません。」
A「大変ですね。」
B「ノアはみんなのためにと、全力で大洪水の時と同じ方舟を作りあげ、」
A「方舟作ったの?海渡るだけなのに大げさじゃない?」
B「モーセが海を割ったため、アダムたちは歩いて蛇ヶ島へと向かいました。」
A「ノアの頑張りをなんだと思ってるんだよお前。作る前にやってやれよそれ。」
B「こうして海を割り仲間割れもしながら蛇ヶ島へ到着したご一行。」
A「ダメじゃねえか。」
B「しかし、ここでイブが蛇に騙されます。」
A「よりダメじゃねえか。」
B「イブは蛇にそそのかされて、禁断の果実を食べてしまい、」   
A「最初から普通に食おうとしてしましたしね。」
B「さらにアダムとノアとモーセにも、禁断の果実を勧め食べさせてしまいました。」
A「約2名、歴史を変える謎の巻き添えを食らってます。」
B「これを知った神は怒ってしまい、アダムたち4人をエデンの岡山から追放してしまいましたとさ。」
A「エデンの岡山って何?」
B「めでたしめでたし。」
A「めでたい要素が1個もないよ。岡山をエデンとか言ってたけど。岡山出ていったのただの転出だからね。無理がありすぎるって。子どもが聞いても絶対喜ばないよ。」
B「うーん、じゃあ違う話にしようかな。」
A「何読むの?」
B「『ノアの方舟』。」
A「さっきも出てたんだよそれ。いい加減にしろ。ありがとうございました。」