あのネタの話

ライアーゲームのネタは、社会人2年目の時に仕事がすごく嫌になり、ストレスで意味もなく突如狂ったように笑うというのを自宅でやるようになったことが思いつきのきっかけです。
本当にしんどい時は家だと無意識に奇声が出たりするので風呂場とかでわざとやって発散させてたのですが、
ある日ふと、そういえばライアーゲームで笑う場面あるなーと思い出し、試しに曲に乗せて笑い続けたらこれがめちゃくちゃ楽しかった。
ただ一度やってみるとわかるのですが、人間はそんなにずっと笑い続けることってできなくて、何も意識せずにやると体に勝手にセーブがかかって止まることにも気付きました。
実際最初にやった時も2分くらいで限界が来てやめてます。
でももし本当に精神を壊してる人間ならどうなるのだろう?もし、本当に世界がどうでもよくなって自暴自棄になってたらそんなの無視して人間はずっと笑い続けるのでは?
そしてそうしてできた画はもしかして今まで誰も見たことのないものになるのでは?と思い、ネタにすることにしました。
実際本家ライアーゲームでも狂って笑うシーンは短くて、ずっと続ける人は、見るに堪えない、到底人に見せるべきではないものだと思います。
それをあえてやれば自分にしかできないネタになると思い、こうしてひたすら笑い続けるネタというのが誕生しました。

なので最初は本当に7分くらいただただ笑い続けるネタで作っていて、その上で見せ方として机に乗る、椅子を蹴とばすなどのいくつかアクションを加えていました。
でも結局のところお笑いのネタではあるので、本当にこれを見た時ネタとしてみんな納得するのだろうか?という疑念もずっと作りながら持っていました。
そんな中、考えたアクションの中に紙吹雪を撒くというのがあって、これを実際やるとすごい散らかるし迷惑だしどうするかなーと、それはそれで別に悩み続けていました。
そしてある日、「どうすっかなー。ネタ後に掃除機かけなきゃだしなー、あ、そっかネタ中に片づければいいじゃん。」とき思いつき、一気に両方の悩みが片付いたのを覚えています。
「片付ける」という要素を入れたとたんに、ただ笑い続けるよりもはるかにネタとして一気に強度が出たと感じてます。
狂気は崩さず、大喜利の基本でもある「逆」の要素で構成されたこのネタは、
やっていることはぶっとびつつも、作りとしてはとてもシンプルでわかりやすい非常にいいネタに仕上がったと自分では思っていたりします。

ライアーゲームのネタは3年前のホシノ企画で1回、昨年の戦で1回やっています。
最初にホシノ企画でやらしていただいた時はまあウケましたし本当に人生でも上位に入るレベルで楽しかったです。
また予定ではネタ中に片付くつもりでいた紙吹雪が掃除機では思いの外全然吸えず、全く片付かずにご迷惑をおかけしたことは本当に申し訳なく思っています。
そして、戦でもネタをやる機会があり、このネタをもっとたくさんの人に見てほしいなということでもう一回やらせていただくことに。
ホシノ企画は当時ネタ時間が自由だったので、自分の思うままにやったのですが、戦は時間が4分以内だったので編集にはかなり苦労しました。
もうちょっと笑い続ける時間がないと笑い続けるという部分ではウケないし、
片付けのフェーズに入るフリとしてももう少しフリたかったので、欲を言えば5分がベストかなと思ってます。
あと紙吹雪だったりとか借り物の椅子を思いっきり蹴とばしたいなーとかも考えてたんですが、中岡さんがまずいい顔をしないのが簡単に浮かんでしまったのでその辺は省いたりしてます。
実際に戦でやった時は、フリの笑い続ける部分ではウケなくてある程度想定してましたが、
椅子直して、トランプ拾った時にウケなかったときは「あ、これ終わったな。」と正直思いました。
あのネタは気持ちとしては9割心をぶっ壊して、1割だけ、俯瞰の目を残し、その1割で次の動きをコントロールする気持ちでやってます。(そうしないとやれない。)
ただあの時は自分の中の俯瞰が一気に増えました。内心すごく焦りましたね。ほんと後半ウケてよかったです。

このネタを嫌いな人や全然面白くないという人ももちろんいると思うんですけど、
このネタは笑っていただく以上に、僕の普段は出していない部分を出すストレス発散でもあり、最悪ウケとかはどうでもよかったりはしてます。
きっかけのとおり、これは心を壊した人のネタであるので。
実際、次にネタやる人にしてみたら絶対嫌だろうしいろんな迷惑をかけるネタなんでしょうが、
僕はこのネタをやる時はもうそんなの全無視で、これでどんな空気になろうが嫌われてその結果居場所がなくなろうが
どうなろうと知ったこっちゃないという気持ちでわりとやってたりしています。
そう考えないとこのネタはやれないんですよね、困ったことに。

そしてここまで読んで、そんな言うほど大したネタなのかなーと思ってる人はいっぱいいると思いますが、
僕としてはこのネタは、2回とも自分の思い描いている画の通りにやれたことがなくて、動画で見たら全然自分の思ってた感じと違ったので。
特に絶対にもっと笑い声は前に飛ばすべきで、ホシノ企画で失敗したから戦は意識してやろうとしたけど、
実際やり始めるとそんな制御できないんですよね。
本当は家で練習とかもしたいんですけど、一回自分の部屋で全力で練習したら、隣の部屋にいた兄が出て行って気まずくなったことがあったので。
なので基本動きだけ確認してぶっつけ本番でやってたりしてるところがあり、舞台としてもやれる場がなく何回もやるネタでもないこのネタは、たぶん完成する日は来ないと思いますが。
でももし正しくネタができたら、これは本来はもっとウケるネタだと自分では思ってたりしてます。別に理解はしなくていいです。

まあそんな感じですが、自分を表現しつつネタの部分としてもちゃんとしつつ、やってて楽しいつつ、好きな点はそんなところですが、
あと特に気に入ってる点として、このネタは本当にプロでもあんまり見ないネタに仕上がったと自分では思っています。
それってアマチュアがネタをやる上で一番大事ですよね。アマチュアがプロの真似事しても勝てないんだから。
戦のあとで、ネイノーさんに全く見たことないタイプのネタとツイートしてもらえたのが、僕が今までネタをやってきた中で最高に嬉しい誉め言葉でした。
今でもまだ誰もやってないと思ってるので、似たようなネタを知ってたら教えてください。見たいので。

あとたまに言うけど僕の夢はこのネタをキングオブコントでやることです。
やって客に見てもらった時にどういった反応になるかを、それが受け入れられようが受け入れられまいが、とにかく見たいっていうのが自分のネタの目標の一つです。
そんな日は来るのか。

まあ、これくらいはたらたらと書けるネタではあるので一番思い入れのあるネタはこれですね。